安倍内閣は発足したが、十月二十二日施行の二つの衆院補選には勝利したものの、福島県知事選、沖縄県知事選と一勝一敗。正念場は来年七月の参院選だが、自民党不利の予想が出され、参院選で民主党に敗ければ安倍内閣は短命に終る事を恐れ勝敗は一人区である地方の二十九の選挙区で選挙の帰趨は掛かってきた。
小泉首相の構造改革は貧富の拡大を促進させ、地方から怨嗟の声は上がってきた。昨年の九月の衆院選で郵政民営化法案に反対した造反組三十七人を公認から外し挙句の果てには落選を狙い刺客さえ送り政治生命を絶とうと画策した。その結果、三人は出馬辞退に追込まれ三十四人は刺客と激烈な戦いを余儀なくされ十七人が勝ち十七人は討ち死にした。
参院のドンと言われる青木幹雄議員会長は造反組の協力なくして参院選は勝てないとの打算から復党させよと声をあげれば小泉首相までも「離合集散は世の習い。自民党を出て行った人が自民党に戻ってきたり、世の習いです」と延べ復党を容認する構えである。
言葉とは便利なもので自分の都合に併せて使われるのかと感心するが根本的に違うのは「出て行ったのではない」郵政民営化に反対したから「追放されたのである」。総裁選で安倍晋三首相も「今後は新しい国を作るという方向性で大義があれば、一緒に参加してもらいたい」と造反組の復党を匂わせたが、平沼赳夫氏は「刺客を使って私を抹殺しようとしたことは許しがたい。私から尻尾を振るような無様なことはしない」と吐きつけ「離党組対してまず礼節をもって前非を悔いるべきである」とも言い放っている。綿貫国民新党代表は「復党なんて話をする前に土下座をして謝れ」と鼻息は荒く、来年の参院選で自民・公明で過半数割れなら我々はキャスチングボートを握れるとの自負であろう。
郵政民営化法案で反対派の追放劇は権力闘争で権力を握りたい小泉首相の戦術に嵌められ自分の意思で自民党を出たのではなく首相は、より強い権力を得たい為の追放で復党は参院選に負ければ政権が揺らぐ怖さの迎合であり中川幹事長も「臨時国会で同調すれば」年内にも復党を示唆している。
その踏み絵に応じるように九月二十六日の本会議では、昨年、郵政民営化関連法案に反対して自民党を離党され無所属に身を置く平沼赳夫・元経済産業相、保利耕輔・文相、堀内光雄・元通産相、野田聖子・元郵政相ら十二人は安倍晋三氏に投票した。
十二人は本会議前に国会内で協議、復党に向けた交渉の窓口に平沼赳夫氏に一任しており、投票前には既に中川幹事長に安倍氏への全員が投票する確約を伝えた裏側には自民党への復党を睨んでの行動であった。中川自民党幹事長も「改めて相談したい」と含みを残した。参院本会議では新党日本の荒井広幸幹事長も安倍氏へ投票して足並みは乱れた。
無所属議員の自民党復党に心中穏やかざるのは、この無所属議員への刺客として送り込まれて当選した面々であろう。安倍内閣は表面の挙党一致は来夏の参院選で勝たねばならない宿命の元で競われ無所属議員は地方には強いことから復党を餌に釣上げたい打算は見えてくる。政治の世界は「数の世界」権力に近づくのなら大樹の陰である。


