近畿日本鉄道(本社・大阪市)は七月四日、志摩市阿児町賢島の近鉄が所有する敷地内から温泉の掘削に成功した。
温泉は湯の温度は44度と志摩市内で掘削されている温泉の中では一番熱く、日糧約173㌧(ドラム缶に換算すると約865本分)の汲みあげが可能だという。
湯元は休館中の旧賢島別館の敷地内にあり昨年10月にボーリングを開始、今年の四月に地下1800㍍で掘り当てた。
泉質はナトリウム塩化物・炭酸水素塩温泉で慢性皮膚炎、疲労回復、美肌効果、神経痛にもよく保温効果に勝れ湯冷めしない温泉だと言われ、八月には温泉法に基づき県知事に温泉利用許可を受けて本格的な施設の充実を図ることになる。
温泉掘削は志摩地方の観光客の落込みから近鉄が昨年度から三ヵ年計画で進めている「伊勢志摩事業計画」の一環である。
掘削された温泉は隣接する約760坪の敷地内に約136坪の建物に岩風呂,寝湯、楕円形風呂を造り、男23人、女26人が同時に入浴できる。
又、和風旅館「賢島宝生苑」まで900㍍には、内径7・5㌢,外径17・5㌢のパイプで温泉を引き宝生苑の大浴場も温泉に切り替える。
今回の温泉掘削の成功で「賢島温泉郷」の土台づくりの一歩を踏み出し年末から、本格的な稼業に入ると見られる。
この賢島の泉質は和歌山県白浜温泉と同質だと言われ、この温泉の掘削は伊勢志摩の観光に福音である。
今の志摩市の観光業の復活は短期滞在から長期滞在型の観光客を引き寄せることが出来るかの成否に掛かっていたが、志摩市の観光メッカの賢島に温泉が湧き出たことから従来よりイメージアップとなろう。
伊勢志摩の観光客誘致には、近鉄のバックアップこそが鍵を握ると言われながら、四年前の三月期には一兆七千億円超の借金を抱え本体の近鉄自体も経営体質に追われ、スペイン村開設当時、近鉄電車の乗客は約550万人も昨年は約250万人まで激減してしまった。この間、合理化や不採算の系列企業の整理など見通しも付け守りの姿勢から、攻めの態勢作りに入り、昨年「伊勢志摩事業計画」で、今後三ヵ年にわたって六十億円を投資すると共に志摩スペイン村、近鉄志摩ホテルリゾートが経営するテーマパークと隣接のホテル、温泉施設を「近鉄レジャーサービス」に十月一日に事業を譲渡しレジャー事業の再編する。スペイン村では今年の四月にはハーフマラソンの開催、十一月には女子プロゴルフのミズノクラシック開催に温泉の掘削によって年末には、志摩観光ホテルは宿泊室は減るものの高級感溢れるホテルにセピラーやエステが受けられる健康増進施設の建設に志摩の特産品でグルメの堪能、宝生苑の大浴場にも温泉と滞在型施設の充実と魅力ある志摩市の観光拠点への仕上げに掛かってきた。
その伊勢志摩へのムードを徐々に盛り上げるのが、七年後の伊勢神宮の御遷宮であり右肩上がりの観光客増の期待は脹らんでくる。


