四市町村の合併で誕生した新伊勢市長選は十一月二十七日、投票が施行され、午後九時半から同市宇治館町の県営総合競技場体育館で開票が行われた。
市長選に立候補したには何れも無所属新人で、団体代表、山中精一氏(73)、旧二見町長の辻 三千宣氏(63)、自民推薦の旧小俣町長の奥野英介氏(59)、民主推薦の旧伊勢市長の加藤光徳氏(57)の四氏の間で競われた。当日の有権者数は10万9293人、投票率は73・82%であった。
開票結果 加藤光徳35,403 奥野英介31,642 辻三千宣11,730 山中精一 813第一回中間発表では奥野、加藤両候補は2000票で並び、辻候補500、山中候補100と開票率5%で早くも奥野対加藤の一騎打ちの様相が生まれ、午後十一時半、開票率44・6%の段階で加藤光徳18,500、奥野英介14,500、辻2,800、山中200となり、加藤候補が奥野候補に4,000票を引離し当確?と思われたが、開票が進むにつれ奥野候補が追い上げ一時は同数で並ぶ大接戦となったが翌日の午前十二時四十五分に決着は付いた。
新伊勢市長選は加藤光徳氏が六月に出馬表明で幕が開き、続いて辻三千宣氏が対抗馬として名乗りを上げる中で加藤氏の優勢が、伝えられる水面下で第三の候補の模索が続けられ、中川正美県議の名前が、浮上するも出馬をためらい結局、出馬断念すると間髪入れずに十月二十日、奥野英介氏が、第三の候補として名乗りを挙げ自民党の推薦を受けた事から辻三千宣氏は独自の戦いを余儀なくされ一気に加藤光徳VS奥野英介の一騎打ちの様相を深めた。
辻氏の出馬を受け加藤氏は市職労、医師会、自治会、市民団体の推薦を次々に取り付けたが、十月二十日、三ツ矢憲生衆議院議員や中川正美県議の推挙を得た奥野英介氏の出馬で、加藤対奥野の激戦ムードが生れた。
奥野氏は「伊勢市職員の高給カット」を槍玉に伊勢市駅整備を公約に掲げれば、対する加藤氏は、民主党、連合三重、市職労に元衆議院議員の藤波系の支持者にも支援を受けながら奥野氏の攻勢に「業材改革は人件費削減だけでは駄目、相対的に簡素、合理化が必用、駅前対策は皆の意見を聞きながら将来を見据えた観光、高齢化対策を考える」と早急な改革路線に異を唱えた。
奥野英介氏の後援には三ツ矢憲生衆議院議員の組織の総力を挙げ片山さつき衆議院議員や投票前日には竹中平蔵総務相まで繰り出し「地方分権」「人件費抑制」「観光戦略」を強調し「国では小泉さん、伊勢市の改革は奥野さん」と旧来の行政では改革は出来ないと奥野氏への支援を訴えた。
この伊勢市長選で奥野市長を誕生させる事で、五区最大の票田をより強固なものにしておきたい三ツ矢のりお衆議院議員と次期の総選挙が、最後の候補と予想される金子洋一氏を支援する民主党に加藤艮六、水谷光男市長と続く革新の座を守るべく連合三重、市職労の総力戦で、加藤光徳氏は革新の座を守り切った市長選だった。奥野英介氏としては市長選に勝抜くには伊勢市の獲得数が勝負の鍵を握る事から頼りにしたのが、三ツ矢のりお衆議院議員後援会で、前面に躍り出ての選挙戦であったが、奥野氏の旧伊勢市職員の給与カットや過激な発言が一枚巌でなかった市職労に危機感を植え付け、組織を固めてしまったが、最後は小俣町対伊勢市の地域対抗の意識が、加藤氏の勝利の影に隠されている。先の衆議院選での四市町村での三ツ矢のりお氏の獲得数は40,185票に対して民主党の金子氏は33,148票で票差は約7,000票余であるが、奥野英介氏の敗戦は、三ツ矢のりお衆議院議員の地元で最大票田の伊勢市での票の切り崩しが出来なかった事を裏付けている。
辻候補は、奥野英介候補の出馬は、想定外で選挙事務所開きでは水谷光男元伊勢市長や中村義之元市議らも駆けつけ勢いづいたが、奥野英介氏の出馬、自民党の推薦も得られない状況から、後援会内部から、市長選への出馬辞退論も出て市長選から降りる?の情報も流れたが、後援会幹部の市長出馬辞退の進言も意志貫徹を主張する辻候補の身内との意見の相違から多くの後援会幹部は去って行ったのも誤算の一つであろうが、加藤氏や奥野氏と比較して動員力、組織力も無く、両者の争いに埋没の感を受けながらも予想を上回る11,730票は健闘した部類であろう。
奥野英介候補は三ツ矢のりお衆議院議員の全面的な支援を受け、終盤には、片山さつき衆議院議員、投票日前日には、小泉改革の推進者である竹中平蔵総務相も駆けつけ支持を訴えるも後一歩及ばず涙を飲んだ。確かに「地方分権」「伊勢市職員の人件費抑制」「駅前開発」で改革を叫ぶ奥野英介候補の主張に賛同する有権者も多かったが、火の粉が我が身に降りかかると危機感を抱いた旧伊勢市職労を結束させてしまった面も伺えるが、独裁的な手腕への警戒感、最後は伊勢市対小俣町の地域対抗の意識から伊勢市での切り崩しは一歩及ばなかった。
辻氏との一騎打ち?なら勝利に自信満々であったが、十月二十日の奥野英介氏の出馬、三ツ矢のりお衆議院議員後援会の全面協力態勢に警戒が生まれ、軸足を連合三重が支持するを民主党の支援を受けながらも政党色を薄め、保守系の支持取り付けに配慮、市民党である事を強調、地域意識の呼び起こしで旧伊勢市から幅広い支持を得たことによって追いすがる奥野英介氏を振り切ったが、新伊勢市の船出は厳しいものがある。


