新「伊勢市」市長選は十月一日の合併を境に一気に盛り上がり十月八日には、加藤光徳氏が、選挙事務所開きで約800人の支持者を集め、気勢を上げれば辻三千宣氏は十七日伊勢市浦口町一丁目で後援会事務所開きを約1000人以上の支持者を集め必勝への決意を披露した。
この伊勢市長選は或る意味で、注目されるのは水谷光男元伊勢市長の存在であった。衆目の見る処では水谷光男氏の意中は、後任の加藤光徳前伊勢市長ではないか?と見られたが加藤光徳氏の後援会事務所開きには姿を見せず、十七日の辻三千宣氏の事務所開きに姿を見せ、挨拶に立ち辻氏への支援を訴え辻陣営に大きな励みとなり形勢は混沌の様相を見せてきた。
水谷光男元市長は加藤艮六市長に請われて助役に就任、四年後には元助役らと激しい市長選を演じ初当選以来、五期連続当選を果した。
水谷光男市長の五期目に当時,県職員であった加藤光徳氏を助役に迎え入れた。このような状況からポスト水谷は、加藤光徳氏のイメージは自然な状況を生み出し、事実水谷引退後の伊勢市長は加藤氏の雰囲気の中で誕生した。
今回の「新伊勢市長」選挙は本命・加藤,対抗馬辻?と称され加藤氏の優位説は、有っただけに水谷光男元伊勢市長の辻三千宣前二見町長の支援は、辻氏には追い風だが、加藤光徳氏には衝撃を受けたのではないか?
平成の大合併を受け南勢地区の盟主である伊勢市の存在感は大きく当初、伊勢市を中心に十四市町村の合併構想であったが、各自治体の思惑もあり、構想は縮小され、最終的には伊勢市、二見、小俣両町に御園村の四市町村の合併に落ち着いたが「総論賛成、各論賛否両論」から一進一退を繰り返しながら、昨年、ようやく合意に至り、今日の合併にたどり着いたが、新伊勢市誕生に果した水谷光男前伊勢市長の尽力は大きかった。
一昨年の九月議会で小俣町議会において当局が、提案した合併関連議案が否決され奥野英介町長の辞任まで発展、出直し町長選で奥野英介町長は再選され「奥野町長の四市町村合併の枠組みは町民の承認を得た」として、法定協議関連議案を議会は可決され,二ヶ月ぶりに開かれた任意合併協議会は開かれたが小俣町に足並みを合わせれば、合併進行に支障を来すと辻二見町長から「小俣町を外した三市町村案」の提案されたが、伊勢市議会が承認すれば、四市町村合併に反対しない条件の意向を示し、伊勢市議会は「小俣町を含む四市町村の枠組み」が確認され辻町長も承諾し決着を見た。
水谷光男市長は、合併が成功すれば、次期市長選への出馬断念を表明しており、伊勢市民の関心は、次期伊勢市長選へと移った。
四首長が、合併問題で難儀を重ねながらも法定協議会で意見の集約に務めていた矢先、加藤光徳伊勢市助役は十二月二十四日、辞職願を提出、一月十六日に受理される間の加藤助役の行動にも疑問が持たれた上に市長選への出馬表明でゴミ最終処分場問題で、柏町に決りかけていたのに凍結宣言し、水谷路線の否定であると加藤批判は燻っていた。
そして四市町村の合併協議会は、水谷光男市長の引退で加藤光徳市長と入れ替わり、合併に向けた本格的な協議に入った。
伊勢市の職員数の削減や給与カットを求める奥野英介小俣町長や中北隆敏御園村長らの葛藤が続き、新市の一般職員の身分問題で給与削減の修正が認めなければ「合併協議会」から、小俣町は、離脱するとの布告に加藤光徳伊勢市長も渋々呑まされ合併問題は前進、十月一日に、めでたく新伊勢市は誕生した事を受け市長選の日程も十一月二十日告示、二十七日投票と決り、加藤光徳氏、次いで辻三千宣氏と相次いで市長選へ名乗りを挙げ、注目は奥野英介氏も新伊勢市長選へ出馬を示唆した事から三つ巴戦となった。
新伊勢市の有権者数は伊勢市・約8万700、小俣町・約1万5000、二見町・約7400、御園村・約7100で、一目すれば加藤光徳前伊勢市長の優位に見える新伊勢市長選だが、支援団体にも「ねじれ現象」が出て、液状化の様相を見せ始めた矢先、水谷光男元伊勢市長の辻三千宣氏の支援を表明した事で市民の間でも興味深く見守っている。
一進一退を繰り返しながら、伊勢地区四市町村合併までの道のりは決して安易ではなく中心的な役割を果した水谷光男元市長の忍耐と寛容の甲斐あっての成就でもあった。この思いは四首長の感慨で生みの苦を知らずして、伊勢市長に就任、主導権を握ろうとする加藤光徳前市長への反発も隠され、水谷光男氏にしても後継含みで招いた加藤助役でだが、就任早々から、次期市長を自負し業者との会合?水谷行政の政策変更に水谷光男氏も心中では複雑なものがあろう。水谷光男元市長を知る人々は、水谷光男氏を称し「調整型の政治家」だと言い「まとめることがリーダーの役割」と自らを表現する外柔内剛?である。
東洋紡跡地再利用で伊勢商工会議所らの要求する伊勢市での購入要請に対して、圧力にも屈せず財政難を理由に拒否した事も今になって振返れば信念を貫き賢明な判断であったと評価されている。
水谷光男元伊勢市長は昨年五月十二日、二十四年間、住み慣れた伊勢市役所を後に故郷の桑名市多度町に移り住み晴耕雨読の悠々自適?余生を送っていたが、今回の新伊勢市の将来を占う市長選を迎え、三候補の中で誰に伊勢市の将来を託すべき?の迷いの中から辻三千宣前二見町長に白矢を当てたのではないだろうか?


